小児脳幹部グリオーマ治療のまとめ

2017年4月に発症。治療・闘病の記録

米国国立癌研究所(National Cancer Institute)のリリース和訳
 
 TOEIC790点レベルだが、頑張って和訳し発信したい。

2017年4月13日の記事

用語・単語

バンドパドヘイエイ医師 ボストンのダナファーバー小児腫瘍、血液の病気センター。この研究に携わっていないが、オピニョンリーダー的な人?女性。ダナ・ファーバーガン病院はハーバード大の医療機関
アリ・シラチフォード医師 ノースウエスタン大の医師。この分野の第一人者の一人。
NCI 米国国立癌研究所
BET阻害薬 抗がん剤の一種。下記プロテインを阻害する。

参考記事
BRD(ブロモドメイン)プロテイン アセチル化させた変異ヒストンに巻き付く。腫瘍の成長になんらかの役割を果たす。
Tazemetostat ヒストンメチル化酵素であるEZH2阻害薬剤、DIPGに対する治験は現在行われていない。
Panobinostat
商品名:ファリーダック
ヒストン標的薬。アセチルグループをヒストンに加える酵素を損害する。
DIPG患者において第一フェーズ治験中 
Control treatments当記事の研究治療と比較される治療として文章に出てくる。内容、意味、不明

小児DIPGの認識されている潜在的治療方針の研究/2017年4月13日/米国国立癌研究所 スタッフ



<>内・・・管理人の考え

二つの異なる研究が、DIPGという手術できない脳腫瘍の潜在的治療のターゲットを明らかにした。治験薬で阻害すると、動物モデルのDIPG腫瘍の成長を遅らせた。
DIPGは、脳幹に有る脳腫瘍にて、ほとんど一様に死ぬ病である。
「小児脳神経科医として、診ている病の中で最も恐ろしい腫瘍だ。」と、この研究に携わっていないが、ボストンのダナファーバー小児腫瘍、血液の病気センターの医師であるプラチチ バンドパドヘイエイ氏は言う。「この手の腫瘍に、治療法は見つかっていない。」
多くのDIPG腫瘍は、特定できる遺伝子変異を起こしているにも関わらず、変異したプロテインが腫瘍の成長にどのように関与しているのか、なんらかの役割があるのか、そしてその機能を療法においてターゲットとして捉えることができるのか、以前から不明である。  両方の新しい研究の為、研究チームは、この変異を持つDIPG細胞の生態と、治療のために攻撃できるように認識できる性質を調査した。Control treatmentsと比較して、PRC2およびBET 阻害薬として知られる薬がマウスモデルのDIPG腫瘍を縮小させ、また、マウスの生命を延長させた。
両方の研究結果のうち、一つはノースウエスタン大学、の研究グループ、もう一方は、デンマークのコペンハーゲン大学の研究で、2月27日Nature Medicineにて出版された。

ヒストンの図 上段図
 <ヒストンが閉じて、DNAにはアクセスできない。>
<ヒストンテールにメチル基が付く。>

下段図
<ヒストンが開き、DNAにアクセス可能な状態>
<ヒストンテールにアセチル基が付いている。>
 

ヒストンの図の解説文章
ヒストンのメチル化は、ヒストンとDNAの相互作用を強固にして、遺伝子発現のためのアクセス不能にしている。
ヒストンのアセチル化は、DNAとヒストンの相互作用を弱め、遺伝子発現の為のアクセスを可能にしている。

ターゲットの認識
5年前、セントジュードワシントン大学の小児がんセンターのゲノムプロジェクトが、DIPG腫瘍の80%近くに遺伝子のヒストンH3と呼ばれるプロテインに変異が見られることを発見した。
この同じ変異個所を腫瘍が高いパーセンテージで持っていることは、DIPG研究のコミュニティーにおいて、驚かれた。と、この研究の第一人者の一人であるノースウエスタン大フェインバーグ薬学校のアリ・シラチフォード先生は、言っている。

ヒストンは、プロテインの一種で、DNAをコンパクトに、格納することを助ける。糸巻きのように何千ものDNAを巻き付ける。まかれたヒストン(をヌクレオソームという。)でそれぞれ染色体(chromosome)を構成する。

    ヒストンにおける特定の変異個所は、遺伝子の発現を促進させ、または、邪魔をしている。例として、アセチルグループと呼ばれる化学構造付加部分が、DNAとの相互作用を弱め、遺伝子の発現を促進させる。一方で、ヒストンのメチルグループ付加物は、通常、DNAをよりヒストンに強固に巻き、遺伝子の発現を防いでいる。  ヒストンH3に変異が起きているということの認識が第一歩であるとバンドパドヘイエイ医師は言う。「しかし、この変異個所でもって治療することを考えると、まず、この変異が何をしているのかを理解する必要がある。」と彼女は付け加える。 

  以前の研究で、シラチフォード医師と彼の同僚は、ヒストンH3の遺伝子変異の機能について、ショウジョウバエ(fruit fly)を研究につかった。正常なヒストンH3を持っているハエに比べで、変異したバージョンをもったハエは、アセチルグループが付いているヒストンをより多く持っていた。順を追うと、これらのアセチル化されたヒストンは、ブロモドメイン(BRD)プロテインと言われたプロテインによって巻かれていた。そして、BRDプロテインは遺伝子の発現を規定する。 。

    NCIによって部分的に資金提供されたこれらの研究は、ノースウエスタン大の研究者は変異したヒストンが、人間の細胞の中で同じような機能を持つのか結論を出したいとしている。実際に、人間の大腸がん(colon cancer)もしくは腎臓がん(kidney cancer)細胞において、ヒストンH3の変異において、より多くのアセチル化したヒストンを正常なヒストンよりも多く見つけた。   。

最初の著者、アンドレア ピウンティ医師、3人の患者から、DIPG腫瘍の細胞を取り、ヒストンH3の異常を分析した。彼の分析は、多くのヌクレオソームは、アセチル化され、BRDプロテインに巻き付かれた変異ヒストンを含んでいるということを判明させた。。

BRDプロテインは、DIPG腫瘍の成長で直接的な役割を担っている可能性があることをさらなる実験が明らかにした。人間のDIPG治療において、BRDプロテインを阻害する、BET阻害薬と呼ばれる治験薬は、control treatmentと比較して、DIPG腫瘍の成長を遅らせた。そして、人間のDIPG細胞を脳に移植されたネズミの実験において、BET阻害薬を使用したものは、Control treatmentのものより、腫瘍が小さく、長生きした。 

  これらの経験から、BET 阻害薬は、DIPGの潜在的な治療アプローチであると言える。と、シラチフォード医師は言う。  前臨床実験は、証明した。いくつかの違うタイプのガン、白血病、グリオブラストーマ、も、BET阻害薬に対し反応する。彼は加えた。    <結論①ヒストンH3エラー箇所におけるBRDプロテインの発見およびそれに対するBET阻害薬投与という方向性> 

  追加標的  ノースウエスタン大のグループの研究は、人間のヒストンH3が変異した、DIPG腫瘍細胞は、ヒストンH3の過度アセチル化に加え、多くのヒストンが、過度にメチルグループにより装飾されているということが分かった。  さらにヒストンH3のメチルグループにくっついているPRC2という名前の酵素(enzymeエンザイム)が、これらのヒストンに近く表れているということがわかった。   

<これまでは、アセチル化が問題だったが、メチル化も問題しされ、且つ、PRC2という酵素が出てくる。>        これらの結果は、ノースウエスタン大の調査に、さらにPRC2の活動を調べるように促す。彼らは、PRC2の活動を阻害すること、遺伝子的に、もしくは、tazemetostatとよばれるPRC2 阻害薬を使用することが、DIPG細胞の成長を減らすことを発見した。 

  「期待していなかったが、これらの結果は、DIPGの成長の維持におけるPRC2の機能の役割を表した。」とノースウエスタン大のグルーブは記載する。  コペンハーゲン大学のグループは、PRC2のDIPG腫瘍成長促進における役割を発見した。彼らはtazemetostatと、別のPRC2阻害剤が、マウスの人間のヒストン変異DIPGの腫瘍細胞の成長を減らすことを確認した。そしてそれらは、Control Treatmentではできない。 

  そして、彼らは、通常のネズミとPRC2が遺伝的に阻害されている正常マウスの脳に、変異ヒストンを移植した。PRC2がないマウスのほうが、長生きした。 

  しかし乍、対照的に、別のドイツの研究チームは、  異なるDIPG患者から取った細胞がtazemetostatに反応しなかったことを確認した。ヒストンH3に変異の見られる患者にも関わらず、 

  <結論②  ヒストンのエラーにはメチル化もあり、PRC2という酵素が働いているという仮説に対し、阻害薬tazemetostatの投与という方向性。  ただし、tazemetostatは有効という意見とそうでないという意見がある。>   

さらに一歩進むと、  「何十年にもおよぶ医学の研究でDIPGの腫瘍は、これまでの化学療法に対し、反応しないということがわかった。」バンドパドヘイエイ医師は言う。「そして、放射線治療は、症状を和らげるが、それは治療ではなく、多くの子供は、診断後2年以内に死ぬ。」  異なるヒストン修正薬  2015年に、DIPG研究者の国際コンソーシアムがあり、DIPG細胞のサンプルが共有された。 

Panobinostat(Farydak@)というヒストン標的薬にて、いくつかの集められたDIPG細胞は破壊されたことが確認された。Panobinostatは、アセチルグルーブをヒストンに加える酵素を阻害する。今、NCIがサポートしている小児脳腫瘍コンソーシアムの研究者が、DIPG患者に対し、panobinostatの第一フェーズの治験を行っている。     

今、両方の研究の結論として、シラチフォード医師は  語る。  BET阻害剤をDIPG治療の研究として、第一フェーズに移行したい。また、シカゴのアン&ロバートHルーリー子供病院の同僚が、これらの研究を進めている。  さらに、いくつかの実行中の臨床実験は、PRC2阻害剤であるtazemetostatが、大人や子供のいくつかのガンにてテストされている。しかしながら、DIPGの子供には、tazemetostatの治験はおこなわれていない。   

<結論③  ①、②を踏まえ、今後は、BET阻害薬投与の治験を促進すべき。  Tazemetostatについては、有効ではないという意見もあり、治験はされていない様子>   

これらの治験薬が、Blood-Brain barrier超えて、腫瘍に到達できるのかの問題を含め、いくつかの答えの出ていない疑問があるとバンドパドヘイエイ医師は語る。  バンドパドヘイエイ医師と彼女の同僚は、生検でとった細胞、検死で取ったものも加えを使用し、より、DIPGの研究を進めている。  生検は、脳神経学のテクニックが改善したために、最近ようやくできるようになった。彼女は説明する。  「興奮する時代だ。」と彼女は言う。「進行中の仕事がいくつもある。究極のゴールは、副作用が少ない形で、子供たちを直すことだ。」 

以上

inserted by FC2 system